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―帝国国民への情報速達便―
『瑞星』 第五号
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【本日の紙面】
国内―『養殖場大量配備計画70%具現化』
国外―『モルドール武装宣言、世間は冷笑』
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―国内―
『養殖場大量配備計画70%具現化』
先帝の頃より続く食糧増産案の要、養殖場の大量配備計画がその行程
を7割方消化し終えたという
養殖場の新設・増築はいかに養殖と言えども生物が相手であり十全な
稼働率を維持する為には設置海域における水温・海流・気候等、多岐
に渡る調査が必要不可欠であり一朝一夕での増産は最初から不可能で
あった
しかし帝国産業部を中心に帝国臣民は一丸となって日々研鑚を重ね
それらの万難に正面から挑み10年単位で歳月を費やし漸く計画は
大詰めを迎えている
現状でも十分世界に誇る事のできる大規模養殖場を抱えているが初期
からこの案件に関わっている古参の養殖技術者は一様に「まだまだこ
れから、我々は7里を以て半ばとしますよ。…9里は流石にキツイで
すから」と冗談を交えながらも瞳に闘志を燃やして海を見据えている
―国外―
『モルドール武装宣言、世間は冷笑』
過去二度に渡り敗戦国となり厳しい国際世論の中にいるモルドール
連合王国であるが、同国は今回本格的な再武装を行う事を報道機関
で宣伝している
同国は先の紛争で戦勝国となったFSF及びCTOによる統治命令を
十分に消化したとは言い難い状況にあるものと思われるが、その中で
今回の様な動きが見られることを帝国情報部は「FSF及びCTOを
構成する一部の国家では外交関係の縮小が進んでいる。これに伴って
モルドールに対する実効支配力が著しい低下しているのではないか」
との見解を示した
またアイゼンガルド問題の頃から頻繁に介入しながらも一向に成果を
上げていないFSFに対しては情報部の外務担当官ばかりでなく冬和
陛下におかれても強い不信感をお持ちになられているとの情報もある
一方でモルドールの武装化に関しては「荒唐無稽としか言い様がない
計画であり考慮に値しない」と簡単に評価するのみで深く言及はしな
かった
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出版元:飛燕通信商社 メルキド暦 794年 4月発刊
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