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兵士諸君、本日このように諸君ら各加盟国から選抜された連邦軍兵士
が一同に会する機会が訪れた事を私は決して喜んではいない。だが、
諸君らがここに整列した以上、私は私情を捨て連邦の精神に則り全軍
の指揮を執る。
戦いを始める前に申し添えておく事が一つある。諸君ら連邦軍兵士の
任務はモルドール連合王国軍を戦滅する事でも王国元首サウロン4世
を討ち取る事でも無い。では我々が望むべきものは何か?
我々は焦土と化したモルドール連合王国の姿など望んではならない。
何故ならばその必要などないからだ。我々が望むべきは、頑な態度で
現路線を固持し、我々への脅威となろうとするモルドール連合王国が
早期にその過ちを悟り誤りを正し良い所のみを残したまま我々と共に
この世界の歴史を共に作り上げていくことなのである。
我々への脅威とは即ち我々連邦が掲げる君主国家同士の平和共存とい
う理想を脅かすモルドール連合王国のバッカーニア王国への侵略姿勢
のみでありモルドールの軍人も国民も元首ですら諸君ら連邦軍の敵と
はならない。諸君らが戦って制圧すべき戦略目標とはモルドール連合
王国の侵略姿勢を支えているミサイル基地を筆頭とした軍事施設等で
あり間違っても罪なき国民の住む大都市や食糧生産設備などではない。
連邦軍の全指揮官に対しこの趣旨は徹底して通達している。これから
始まる戦いは決して派手では無く、むしろ地味とさえ言い表せる物と
なるだろう。しかしだ。国家が百年兵を養うのは華々しく戦う為など
ではなく国家の安寧の為に在るのである。兵士諸君がこの事に誇りを
持ち各自の職分を尽くす事を期待する。
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