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=国内=
・産業系大学の建設
防衛力強化停止期間の終了を受けて、政府は大学建設用地の確保を開始。ボルカノ本島北部に「ウィンディア農工技術大学」が建設された。国内の大学用地の不足が叫ばれて久しかったが、ここにきてようやく新たな公の教育の場を得ることができ、高等教育関係者および産業振興委員会の面々は胸をなでおろしている。この新大学で学んだ学生たちは将来、タヂカラオの牧畜と工業を担う人材となることだろう。
・政府、防衛力強化の再開を公言
ボルカノ本島における「輝ける都市」の整備が一段落ついたことから、政府は本島沿岸の防災都市の整備および弾道ミサイルの発射訓練を再開することを公式に発表した。また、これに合わせて海軍予算を従来のレベルに引き戻すことも検討されている。これらの件に関してはタヂカラオの経済規模の拡大に合わせて防衛力も適切なレベルを保つべきとの観点から、議会は肯定的だが軍事費用が予算を圧迫することへの不満も聞かれる。
=国外=
・セレーニア連邦、ベルーサ政府を否認
ベルーサ社会主義共和国の建国を受け、セレーニア連邦(以下UFS)はベルーサ政府を承認しないことを表明。グダニスク連邦自由国内に樹立された自由デラディスタン亡命政府をデラルーシの正当政府として承認することを発表した。
自由デラディスタン亡命政府首班は「ヴィクトール・レーベシ」を名乗っており、当社独自の調査によればデラルーシ初代大統領ユーリ・レーベジ氏の親族であることはほぼ間違いないようである。しかし、彼の亡命政府樹立宣言には多分に事実との矛盾があり、タヂカラオ国内では亡命政府の正当性には疑問がもたれている。以下、デラルーシの政治経済文化に詳しいヒャルマー・C・セリエル博士のインダビュー記事を抜粋する。
「ヴィクトール氏は宣言の中で、自らはあくまでデラルーシ先住民族であるデラ人の末裔であり、ルーシ人によって国が奪われたような表現をしているがこれがおかしい。デラ人とルーシ人はそこそこ同化が進んでいたし、文化的に見てもかなり融合が見られる。そもそもデラルーシ地方に進んだ経済や技術を持ち込んだのはユークトバニアの末裔たるルーシ人の方であり、旧デラルーシ政府もどちらかといえばルーシ民族よりの人間が多数を占めていた。もちろんデラ人独自の文化を継承しようとする人々もいたが、旧来派の彼らはデラルーシ内戦でみるなら反政府側に立っていたことは明白であり、ヴィクトール氏の話は客観的にみて事実と符合しないのです。彼が何者であるのかはいまいちはっきりしないのですが、UFSの政財界に顔の利く人物であることは疑いようが無く、旧デラルーシの利益団体の代表であった可能性が高い。」
UFS、殊にグダニスクの旧ユークバニアに対する感情は控えめに言って最悪であるとされ、そのことが今回のような事態を引き起こしたのは間違いないが、UFS-ベルーサ政府間関係が一挙に修復不能なレベルになってしまったことに政府外務局は頭を痛めている。
・マグザム居住デラルーシ人の受難
マグザム共和国ではしばしば食物研究所起因の食物不良が起こっているが、近年発生した食物不良がデラルーシ人によるテロであるとのデマが流れたのか、同国内でデラルーシ人への迫害が発生したと伝えられている。これをうけてマグザム政府はデラルーシ人の住居分離政策を発表、新たにバーベルト郡を制定しており、迫害の激しさが伺える。
マグザムにおいて食物不良はほぼ一貫して「バイオテロ」と呼称され、政争の道具にされている感があるが今回はデラルーシ移民がこれに巻き込まれたとも言える。今回のような迫害は国家の信用を貶める危険性もあり、有識者の間では心配の声があがってしる。タヂカラオ政府はマグザム政府に対し、デラルーシ人のタヂカラオへの受け入れを提案しているが、実現の可能性は薄いだろう。
メルキド暦1086年6月5日発行
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