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=特集= タヂカラオとは(2)
・信仰
他の地域から見た場合、多くの場合、現代タヂカラオの宗教は風変わりなものであると言われる。これは所謂『自然宗教』に近いものであり、人類学者A・マミヤは「シャーマン達はその知恵で人々を指導した」と「タヂカラオ文化」で記している。十二氏族の族長であることはシャーマンであることとほぼ同義であるとする学者もいる。前述のような自然宗教、あるいは原始宗教と言える信仰形態は様々な国と地域で見られるものであるが、タヂカラオにおいては人口の97%(当社調査)にあたる人々がこのような形の信仰を持っている。
・宗教の不在
タヂカラオにも、その存在が諸外国に知られるようになったメルキド暦300年代から、明確な教義を持ち、体系化された宗教が輸入されるようになったが他の地域ほどには普及しなかった。メルキド暦700年代初頭に布教に訪れた、とある一神教(具体名は伏せる)の聖職者は「彼らは我々の話を実によく理解しているようだった。しかし我々と同じ神に仕える様子は全くなかった」と語っている。事実、明確な教義を持つ「宗教」、ことに一神教は普及しなかった。
・精霊視
この状況の最も大きな原因はタヂカラオの人々の「体質」によるものと考えらている。前出のA・マミヤはこれを『精霊視』と呼んだ。タヂカラオの人々はごく少数の例外を除いて「精霊」の姿を見、その声を聞くことができる。この「精霊」は多くの場合本人の血縁者を名乗ると言われ、普及した言い方をすればタヂカラオの人々には「霊感がある」。この能力は20歳くらいまでに消えてしまうことがほとんどだが、人々は人ならざるものと共に成長し、彼らに様々な教えを受けて育つ。控えめに言っても、教えを受けて育つとされる。おそらくこのため、観念上に存在するかのような神や宗教を極めて受け付けにくい。当然と言えば当然だが唯物論を唱える人は皆無である。詳しくは関連書籍を参照されたい。
・最後に
このような特異性は様々な問題を引き起こす。この「精霊視」を集団ヒステリーと見なす学者がいることは、タヂカラオの人々にとって実に悲しむべきことである。最後に、ここにチャールズ大統領の言葉を引用する。「神を奉じながら、その神を知らない人々もいる。彼らと対話することもタヂカラオ国建国の理由の一つである。」
人類のより良き未来のために
メルキド暦777年11月08日発行
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